自らバチを育て、バチに自らが育てられる
名前:荻原松美
最終学歴:国立音楽大学
現在の所属:シエナ・ウインド・オーケストラ
楽器を始めた頃:中学校
プロになろうと決めた頃:高校
【スティック】
2本のバランスが重要。どちらも同じ音程、重さの物を選びましょう。楽器店で一本ずつ、頭に軽く当てるなどして音程を確かめ、計りで重さを調べます。また、平らな所で転がして、曲がっていないか確かめましょう。
メーカーによっては、出荷の段階でバランスの良いペアにして売っているケースもありますので、それであれば通販で買っても大丈夫。
小中学生だと、手が小さく力が弱いために細い物を選びたくなりがちですが、ある程度太くて跳ね返りやすい物の方が、むしろ最低限の力で操作できてオススメです。

【マレット】
これはスティックにも言えますが、「どんな音を出したいのか」が重要。そのイメージがあれば、今ある物と比べてより硬い、柔らかい、太い、細い、重い、軽い、等、様々な必要性に駆られることでしょう。

ティンパニにしても鍵盤にしても、かなりたくさんの種類が販売されています。この中から適切なものを選ぶことはなかなか難しいですが、音のイメージを強く持てれば、何を選択すべきかが見えてきますし、イメージを持つことさえままならない初心者であれば、せめて「硬い、中くらい、柔らかい」の三種類をとりあえず買い、イメージを持てるようになったらバリエーションを増やしていけば良いのではないでしょうか。

それから、スティックのチップ、ティンパニマレットのフェルト、マリンバマレットの糸等は消耗品です。消耗した状態で使用しても良い音は出せません。必ず修理に出し、常に思い通りの音を出せるよいにしておきましょう。できれば、なるべく自分専用のバチを購入することを強くオススメします。これもマレットと同様、音のイメージが重要。各メーカーからたくさんの種類が販売されていますので、その説明書きを読み、現在装着しているものよりもどんな音にしたいのかというイメージと照らし合わせましょう。

【ヘッド】
ヘッドは消耗品です。劣化しているとどんなにチューニングしても良い音は得られません。替え時の判断が難しいようであれば、毎日のように演奏する学校の部活の場合は、一年に一度のペースで交換できると良いですね。

【アマチュア奏者&打楽器素人な指導者へのアドバイス】
楽器演奏の上達には、2本の柱があると考えています。
一つは「基礎練習」、もう一つが「音楽を聴く(知る)こと」。
このどちらかが欠けると、上達のしようがありません。
基礎練習が必要であることは、どなたでも認識されているでしょう。では、音楽を聴くことはどうでしょうか。

例えばマーチを演奏する団体のレッスンに行ったとしましょう。マーチらしいニュアンスが出せてないなと思い、「何か有名なマーチを知ってる?」と尋ねると、「去年の(吹奏楽コンクール)課題曲」という答えが返ってくることがほとんどです。もちろんそれも良いのですが、世界には多くの人から愛されている超有名マーチが数多く存在し、一流楽団の録音を聴くことができます。しかし、多くの学生の皆さんがこれらを聴いたことがなく、目の前の譜面を追っているのです。これではマーチのニュアンスなんて出せるわけがありません。

マーチに限りません。古典、ワルツ、カルメン、ジャズ、マンボ、、、等、どんなジャンルであってもそのジャンル特有のニュアンスがあるものです。それらを知ることが重要で、何かの曲を演奏する前に、その曲の音源を聴くだけでなく、その曲が属するジャンルの様々な演奏を聴いてみることで、その曲をよりかっこよく演奏することができるはず。

演奏することが喜びであるからこそ楽団に所属しているのはわかります。しかし、鑑賞する喜びも音楽の楽しみとして習慣化したら、さらに素晴らしい世界に足を踏み入れることができるでしょう。

さて、このジャンルによる特徴を知ることで、音へのイメージが掴め、それがすなわちバチやヘッドや楽器選びに活かされるのです。

扱いやすさは確かに重要です。しかし、場面に応じた音を出したいと思うことが最も重要で、そのために必要なものを手に入れたり、今持っているものを活かしたりするのです。

例えば、ティンパニマレットはフェルトがどんどん消耗していきます。その度合いで音が変化していき、使用したい場面も変わってきます。そういったことにも敏感になれると良いですね。
「自らバチを育て、バチに自らが育てられる」ということを認識できればと思います。
消耗品の購入は、金銭的負担が大きいのは確かです。しかし、奏者がどんなに頑張っても良い音が得られないようでは意味がありません。ここには奏者自身も学校の先生方も敏感であってほしいと思います。


【一番好きな吹奏楽曲】
交響曲第3番/J・バーンズ

【所属楽団のマイベスト1アルバム】
BRASS & CHORUS